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会場へ向かうと、既に METRO から約 600m ぐらいの長蛇の列が出来ていた。自分達が一度昼にこちらに来た時からかなりのファンが集まっていたのだが、それにしても凄い人だ。どうみても 1,000 人以上いるように見えるのだが…。実は今回の Return home show (UNITED CENTER+ METRO)のチケットの偽物が大量に発券されているらしく、きっとこの中にも買わされたファンもいるのだろう。本物の紙が流出しているので、素人では見分けがつかない巧妙に作られたチケットだそうな。自分達もとりあえず並ぶ。 D さんが UK ツアーの時に会ったアメリカ人の女の子3人のうちの1人を見つけた。彼女を追って声をかけると、「ハーイ」と御挨拶。覚えていてくれた。でもあとの2人はいなくて、どうも彼女だけらしい。 UK で会った時は「チケットがない」といっていたので、チケットが手に入ったのか訊いてみると、「 600 ドルで買った」という。 66,000 円?どうみても彼女はまだ若いし、きっとこのお金を作るのも大変だったろうに。でも、この値段だときっとダフ屋なりオークションなりで買っているはずだから、チケットが本物である事を祈りたい。何時だか覚えていないが、入場が始まった。男女に別れてボディチェックが始まる。そしてチケットは一度赤外線かなにかを当てる機械に通され、本物かどうかのチェックが入る。自分が入場する前に入り口の所で「 Noooooooo...... !!!!!!!!」と叫びながら出ていくファンもいて、多分この人のチケットは偽物だったんだろう…。あのアメリカの女の子は入れただろうか?



実際のライブ会場は本当に小さい。自分達が入場できたのがかなり遅かったので、フロアは既に満杯で自分達は入り口のすぐ近くになった。でもステージはかなり近く感じる。ステージセットは今までと差程変わらないけど、後ろの幕はなし。とてもシンプルな作り。会場の2階席は本当にVIP級の招待客ばかりのようで、その中には BILLY のお父さんである BILLY CORGAN SR. やガールフレンドの YELENA の姿も。ファンがそれを見つけると一気に拍手喝采。ステージから METRO のスタッフであろう2人が登場し、最終ライブのアナウンスをする。盛り上がってきた。

7:40 過ぎ、突然 Mellon Collie and the Infinite Sadness が流れる。そこへメンバーが登場。 JAMES は赤いスーツ、 MELISSA は黒のラメのドレス、 JIMMY はいつもの?黒い衣装、そして BILLY はシルバーの衣装で登場。そして曲は、なんと Rocket 。やはり今日は特別だ。しかし、ここで1度目のハプニング。曲の最中で、 Tonight, Tonight のイントロが混ざってしまう。どうも最初の Mellon... の後の SE がうまくコントロール出来なかったようだ。仕切り直しとなったが、雰囲気が和んできた。3曲目は I Am One 、4曲目はなんと Rhinocerous 。Gish からの曲が続く。で、2度目のハプニング。イントロが変な不協和音に。今度は JAMES にチューニングの違うギターが渡されてしまったらしく、すぐ交換。またもや仕切り直し。そして、5曲目はなんと Shame [from Adore]。これを JIMMY のドラムで聴けるとは思いもしなかった。控えめなパターンではあったが、聴けて本当に嬉しかった。ここから少しハード目な曲が続く。 BILLY が「これがラストだけど、みんな本当にありがとう」と言うと、ファンも「ありがとう!」「ありがとう!」と返す。とてもあたたかい雰囲気だ。ちょっと長めの MC の間、 JAMES が Spiteface のイントロを弾きはじめる。「ウォーー!」と叫ぶファン。残念ながらイントロだけだったけど、そういえばこの曲、SP の METRO 初公演で演奏されているんだったな…。で、その後演奏されたのが Thru the Eyes of Ruby。自分の大好きな曲だが、前回の United Center までは暫く演奏されていなかったので、凄くびっくりした。この時のギターは本当に美しい。ドラマティックなドラムも健在だった。そしてここで1人(組)目のゲスト。なんと、もうSPファンの間ではすっかりお馴染みになってしまった FROGS の Dennis + Jimmy Flemion 兄弟。勿論派手な衣装で登場。で続く To Sheila [from Adore] では LINDA STRAWBERRY という女性のゲストが登場。 BILLY とのデュエットとなった。 Mayonaise 〜 I of the Mourningと続いて、一旦終了。

実は今回のセットはいくつかに別れていて、各々が act1 、act2 というに区切られている。その間にステージにはピエロが「 SP のショウへようこそー」「次幕まで5分」「ショウを楽しんで下さい…」等かかれたボードをもって登場する。それが何となく素人っぽくて、逆に新鮮味があり地元ならではのノリにも感じた。なんか全てが微笑ましい。2幕目はアコースティックセットが組まれ、ボンゴ+コンガも前に登場。メンバーが現れ JIMMY の後にもうひとり男の人が…。なんと3人目のゲストは MATT WALKER ( MATT は JIMMY が解雇になった後のドラマー。映画バットマンのテーマ曲 The End Is the Beginning Is the End のドラムは彼によるもの)。 JIMMY の後ろでジャンベのようなパーカッションをプレイした。胸があつくなりました。この2人の関係はそんなに簡単なものでは無いとは思うのだが、この2人が並んでパーカッションをやるというという事の意味が凄く大きく、感慨深くなった。そしてThe Last Song。これは Thirty-Threeのシングルに収められている曲で、ここで優しいインストの曲と一緒に BILLY のオルガンプレイが披露された。続いて UK では演奏されなかった Age of Innocenceも再び。アコギの Age of Innocenceもとてもいい雰囲気。やはりこの曲は穏やかになれる素晴らしい曲だ。そして Thirty-Three で2幕目が終了。それにしても、明らかに雰囲気がいつものライブと違う。確かに最後のライブだけれど、「悲しい」というより「お帰りなさい」という感じでしょうか?本当に家族の元に戻って来たSPがライブをやっているという感じで、メンバーの顔もとても穏やか。中には外国人のファンも沢山いて勿論自分もその1人なのだが、ファン同志もお互いをいたわるように優しく、ヒートアップした時にスタッフが投げ込む水の入ったボトルもどんどん次の人へとまわしてくれる。途中倒れてしまうファンもいたけれど、すぐ抱え上げて前方まで送っていくし、でも歌うときは大いに歌い、暴れる時は大いに暴れるといったとてもいい雰囲気を作っていた。その場をみんなで分かち合って楽しもう!という感じで、とても嬉しかった。

さて、3幕目は大盛り上がり大会。 Tonight, Tonight から Siva へ。勿論ファンも狂喜乱舞。今この曲が再びライブで聴けるとは!そしてあの頃の粗めの演奏とはまた別の、タイトで硬質のクールな Siva でした。An Ode to No One (Fuck You) の後は Drown ~ Starla という豪華セット。この時の BILLY のギターが凄まじかった。当時の曲は BILLY にとってギターが重要な表現ツールで、それが一番現れているのが Starla だと思う。あれから何年も経って演奏される Starla だったが、原曲にほぼ近いフレーズで汗だくで弾きまくる BILLY の姿が恐ろしく格好いいと思えた。特にこの曲は欧米で人気が高くイントロが奏でられた瞬間大歓声、しかしファンも後半のギターソロに圧倒されっぱなしだった。If There Is A God に続いて Cash Car Star 。この曲はアメリカではそれなりに浸透している曲なので、今まで見て来たライブ以上に盛り上がった。そして Rock On ~ Heavy Metal Machine。…そして Today 。そう、本当に「 Today Is the Greatest」。大合唱で場が一体となる。あたたかい拍手の中、一旦メンバーがステージ去っていった。

アンコール1回目には4人目のゲスト。さっき2階席から自分の息子の姿をじっと見てたであろう BILLY CORGAN SR. の登場。持っているギターはフライングV。見た目は普通のおじいさん?なのだが…格好よすぎ。 BILLY は持っていたキャンドルに火を灯し、それを Drum Set のある段に置いた。そして、この2人にとってとても重要な曲であろう For Martha [from Adore] を演奏。今度はお父さんがフロントに出てきて、しばし昔話( BILLY の小さい頃の話)を披露。そしてブルース1曲演奏。この時は JAMES がベースを弾いて、結構貴重な姿を見る事が出来た。

2度目のアンコールでは、最後のゲスト、地元シカゴが生んだ BILLY のアイドルでもある、 CHEAP TRICK の RICK NIELSEN が登場。すみません、直ぐには気付きませんでした。なんかかなりデカくなった気が…(一瞬プロレスラーかと思った)。そして彼のギターを含めて Cherub Rock が演奏された。

3度目のアンコール1曲目は、 MIKE の荘厳なキーボードソロに続き、やはりこの曲、 Disarm 。勿論全員大合唱。そして最後の曲… 1979 。ここで再び MATT が登場、リズムマシーンに合わせて彼のドラムも重ねられる。ファンも歌ったり踊ったり。ギターをかきならしながら、 BILLY がフロアの右サイド、左サイドへ挨拶、2階席にも挨拶して、大歓声の中ステージを去った。…既にここで3時間以上も経っているのだが、当然みんな帰るつもりなどない。足踏みしたり手拍子をしながら更に「We Want More!!!!!!」とアンコールを求める。とにかくその音や声が凄い。ダイブもモッシュもおこるしそもそもそんな中3時間もいるのに、みんなまだまだエネルギーが残っている。当たり前だ、今日は本当に特別な日なのだから!そしてどこからともなく「Silverfuck!」「Silverfuck!」のコールが。勿論すぐみんなそれに続く。METROの人が現れて、「もっとでかい声でコールしろー」とあおる(笑)。もう、収集のつかない状況で、メンバーが現れる。そして演奏されたものは…本当に Silverfuck だった。でもかなりのアレンジがなされている。そういえば、 Mellon... 時の来日公演の時も、相当姿の変わった Silverfuck が演奏されたが、それよりも更に進化したものだった、それも20分以上ノンストップ。 メンバーもとっくにエネルギーが消耗されているはずなのに、もう狂気沙汰に近い状況の中での凄まじいプレイだった。そして、終幕。 BILLY が今までの感謝の思いをファンに伝える。でも、感謝したいのはこっちの方だ!こんな素晴らしいバンドに出会い、今まで過ごして来れたのだから。ファンも「ありがとう」を何度も伝える。そして、 BILLY が「God Bless You, MELISSA 。 JAMES も。 JIMMY も。そして D'ARCY 。 God Bless You, SMASHING PUMPKINS 。本当にありがとう…」と言うと。会場全体に割れんばかりの拍手と声援が。この場所にいない世界中のファンからの声までも聴こえてきた感じだった。 BILLY の目からポロポロと涙がこぼれ落ちる。何度もお辞儀をしながらその涙を拭っていた。緊張の糸がきれたのか、ぐしゃぐしゃになる BILLY 。そのままステージの脇にいた今まで一緒にすごして来たスタッフのみんなと抱き合い、更に崩れ落ちるように泣いていた。そしてそのままステージから去っていった。

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まず、今回のライブでの JIMMY ですが、残念ながら自分のポジションからだとちょうど Drum Set に備え付けられたカメラが邪魔?していまいち姿を見る事が出来なかったのですが、なんか多分今まで聴いたことの無い Drumming だった気がします。今の JIMMY に昔の JIMMY がちょっと乗り移っているという感じでもあったのですが………というよりこの10年間の彼の Drumming のいい所全てが凝縮された感じと言った方がいいかもしれません。 Siva のドラムも物凄くハードだし、テンションもめちゃめちゃ高いのですが、やはりプロならではの美しさがあり、ただ若くて勢いで圧倒するドラムとは全く違うものでした。更に最後の Silverfuck に関しては、長時間プレイした後だというのに、ここにピークをもってきたのか?それでもまだエネルギーがあるというのか??と、思える程狂気沙汰でした。そして、最初からテンションはあがる一方で、最後までこれっぽっちもリズムが狂わない。今までには絶対なかった JIMMY のドラムでした。このライブではきっちり構成されたステージングといった雰囲気はなく、結構リラックスしてた感じだったのですが、そういう状況でもメンバー全員の最高潮のライブを見たような感覚で、とにかく自分が何を見ているのか判らなくなり一瞬パニックになってしまいました。とても、うまく説明が出来ず、レポートにもなっていないのですが、このライブに関してはぴったりとあてはまる言葉が見つかりません。勿論本当の Final Show なので、寂しい感じもありますし、地元だからというアットホームな雰囲気もあるし、リラックスしているようだし、昔のように狂気に満ちたプレイもあったし…。「今回はこうでした」と言えればいいのですが…。この4時間以上のライブの中で、 SP やファンやスタッフのいろいろな想いが溢れ、また1曲毎にあの時はああだったと思い出されるシーンがあったりして、この 1988 年から 2000 年までの12年間という SP の歴史の中繰り広げられた数々のドラマが、この最後のライブ中に目の前に蘇り、何とも例えようのない感覚になったのでしょうか?自分も、自分が SMASHING PUMPKINS を初めて耳にした時の事や JIMMY のドラムを実際に live で見た時の事、怒濤の Mellon... の頃や JIMMY のいなかった Adore の頃、 JIMMY 復活のアナウンスを聴いた時、 D'ARCY の事や解散の発表の事などなど、本当にあの時この時の SP の出来事やその時の自分の事が沢山思い出されて、胸が熱くなりました。そして、 SP の聖地ともいえる METRO での、それも Final Show という歴史的な瞬間に自分が立ち会えた事に深く感謝しています。これ以上 SP としてのライブを観られない、新曲が聴けないという事が一体どういう事を意味するのか全く分かっていない状況なのですが、今は本当に彼等にただただ感謝したい気持で一杯です。本当に幸せな時をすごす事が出来ました。

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ACT1:
MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS
ROCKET
I AM ONE
RHINOCEROUS
SHAME [from Adore]
PORCELINA OF THE VAST OCEAN
THE EVERLASTING GAZE
ZERO
THRU THE EYES OF RUBY
BLISSED AND GONE - WITH FROGS -
TO SHEILA [from Adore] - WITH FROGS + LINDA STRAWBERRY -
MAYONAISE
I OF THE MOURNING

ACT2:
MUZZLE - WITH MATT WALKER -
STAND INSIDE YOUR LOVE
PERFECT [from Adore]
THIS TIME
GO
THE LAST SONG
LAST INSTRUMENTAL
AGE OF INNOCENCE
THIRTY-THREE

ACT3:
TONIGHIT, TONIGHT
SIVA
AN ODE TO NO ONE (F**K YOU)
DROWN
STARLA
IF THERE IS A GOD
CASH CAR STAR
ROCK ON 〜 HEAVY METAL MACHINE
TODAY

ENCORE1:
FOR MARTHA [from Adore] - WITH BILLY CORGAN SR. -
BORN UNDER A BAD SIGN [BOOKER T. JONES / WILLIAM BELL] - WITH BILLY CORGAN SR. -

ENCORE2:
CHERUB ROCK - WITH RICK NIELSEN IN CHEAP TRICK -ENCORE3:
DISARM
1979

ENCORE4:
SILVERFUCK

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綺麗にまとめたかったのですが、最後にJIMMYのエピソードを1つ。最後の挨拶で、例のごとくJIMMYが自分のスティックをオーディエンスに向かって投げたのですが、投げた数と落ちて来た数がどうも違う…で上方を見てみると、天井に1本おもいっきり刺さってました(笑)。本人も指さして大笑いしてましたが、最後くらい美しくまとめて下さい、たのみます。…ていうか、そもそも一体どのくらいの力を込めてなげたんでしょう?それじゃ観客が危ないって。手加減してください、METROは狭いんで。結局最後まで落ちてこなかったのですが、あれがいつ落ちてくるのか気になって仕方がありません。ライブ中にいきなり降ってきたら恐いっス。……流石師匠、最後までやってくれました。


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