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随分昔のインタビュー記事ですが、多分これが自分が読んだ初めてのjimmy chamberlin単独のインタビューだと思います。全文を御紹介する事は出来ませんが、それなりに興味深い部分を抜粋して御紹介させていただきます。これは、「rhythm&drums magazine 1994年4月号(当時は隔月発行誌でした)」のトップページに掲載されたインタビューです。丁度smashing pumpkinsとして、siamese dream tour時に来日した時のものです。今読み返してみると、きっと現在のjimmyの考えと若干違っているとは思いますが、smashing pumpkinsの人気も急上昇中の、まさにノリにノっている感じが現れています。


 

JIMMY CHAMBERLIN OF SMASHING PUMPKINS : ただ単にビートを叩くだけのドラマーなんて、今や何の価値もないよ

1枚目*1)と2枚目のアルバムで気に入っている点と気に入らない点を教えて下さい。
両方ともすべて気に入っているよ。どっちも作った時点での自分たちを反映しているものだと思うし、例えば1枚目の演奏の粗さとかは評価できるものじゃないけど、若いバンドらしくて僕は好きだね。もし今、あのアルバムを作り直したら、きっと技術的にはいいものになるだろうけど、若いバンド独特のノリやパワーは出せないだろうな。ただ、レコーディング期間が長かったのにはまいったね(笑)。4カ月もスタジオにカンヅメ状態ってやつだったんだ。休憩時間もほとんどなかったし。1枚目をレコーディングした頃はなにしろお金がなかったから、それもしょうがなかったんだ。ああ、そういえば唯一、気に入らないところがあったよ。それは今じゃ感謝の気持なんてまったくない人の名前を"Thanks to"のところにクレジットしたことだね(笑)。

ジャズのビッグ・バンドとパンプキンズではプレイ・スタイルがまったく異なりますが、違和感はありませんでしたか?
初めてみんなとプレイした時はさすがに違和感を感じたね。だけどこれは適応できるっていう確信はあったよ。バンドの音楽性に合わせてプレイすれば何の問題もないと感じたんだ。そもそも僕がパンプキンズに入ったのは、バンド形態でいろんなタイプの音楽をプレイできるチャンスがあると思ったからなんだよ。

以前、ドラムを正式に習った事はありますか?
もちろんさ!例えばルーディメンツやスティック・コントロールのトレーニングをしたり、テッド・リードの「シンコペーション」(*2)を教則本に使ったり…こういったものはほとんど通過してきたよ。結局9年間くらいはちゃんとしたレッスンを受けてたし、そもそも練習自体が大好きなんだ。毎日学校から帰ると、寝るまでに6時間くらいは練習したものだよ。

今でも毎日練習していますか?
うん、少なくとも1日に1回はスティックを手にしているね。今朝だってタワー・オブ・パワーの音楽に合わせて、ひざを叩きながら練習したよ。ひざを叩く程度でも、毎日練習しないと気がすまないんだ。1日でも休んじゃうとへたになってしまうような気がしてね。

現在はどんな練習をやってますか?
ツアーに出ている時だって、いつもスティック・コントロールに関する本を持ち歩いているし、ルーディメンツや足のストレッチはかかさずやってるよ。家にいる時は主にスネアがメインのルーディメンツをやって、あまりパターンを考えだしたりはしないんだ。僕は自然にいろんなプレイが出てくるタイプのドラマーらしくてね。十分にウォーミングアップさえしてれば、頭に浮かんだものは確実に叩けるんだ。僕は、何かにインスパイアされて出てきたそのままのプレイが一番だと思うから、いろいろこねくりまわすのは好きじゃないんだ。だって一番最初に出てきたプレイこそ、自分が耳にした音に対して忠実に反応したものだからね。

は、あなたのドラミングのほとんどはインプロヴァイスしたものなんですか?
うん、だいたいはね。例えばその曲にとって重要だと思えるキメなんかは前もって考えるよ。でも、それ以外はほとんど、自然に出てくるものをそのままプレイしているだけなんだ。僕は自分の目の前に譜面が置いてないかぎり、特定のプレイは決してしない。だからライブでも、キメなんかはそのままだけど、その他のプレイはいつも変化させているよ。

パンプキンズでは、自分のやりたいことがすべてできていると思いますか?

うん、もう夢中だよ。パンプキンズではロックにジャズの解釈を取り入れた音楽ができるんだ。パンプキンズほど変化の激しい音楽をプレイしているバンドは、他にはないんじゃないかな。だけどこのバンドは僕にとって、進むべき道の途中にある1過程でもあるんだ。僕は自分がいるバンドのことだけでなく、一歩一歩前進していくってことを大切にしているんだよ。それまでだって、僕はポルカやラテンもやってたことがあるんだぜ。僕が今、ロックをやっているのは、そういった流れに自然に身を任せた結果だし、まだこの先もあると考えてるよ。だけど僕はそれらをすべて、心から楽しみながらプレイしてるんだ。もちろん今だってそうさ。

いわゆるドラマーのスペシャリストになりたいと思っているわけですね?
そのとおりなんだ。だから僕は今までいくつかのスタジオ・ワークをこなしてきたよ。例えばデペッシュ・モードやEMF、ハウス・オブ・ペインなんかのバンドのためにドラムを叩いたりしたこともあるんだ。それからTVコマーシャルやTVドラマ用の音楽をプレイしたこともあるしね。こういう場合は他人の曲を指示されたとおり叩くわけだけど、いい金になったし、嫌な仕事じゃなかったよ。僕はこの先もスタジオ・ワークをやりたいと思っているし、パンプキンズでの活動を通じて、一緒に仕事をしてみたいなと思う人にもたくさん知り合ったから、将来が楽しみだね。

例えば、元ジャーニーのスティーブ・スミスのような感じで仕事をしたいと思っているのですか?
そうだね。彼のようにジャズ・ドラマーになるっていうのも将来に実現したいことの1つだね。それにスティーブのドラミング自体、僕は好きだからね。彼がいい例だと思うんだけど、最近のドラマーはちゃんと音楽の教育を受けている人が多いんだ。僕やスティーヴン・パーキンス(ポルノ・フォー・パイロス)、マット・キャメロン(サウンドガーデン)はみんなジャズ・フリークなんだ。もうパンクは過去のものだから、今やただ単にビートを叩くだけのドラマーなんて、なんの価値もないよ。今のドラマーはいろんなものが要求されるし、そのためにはちゃんと基礎を修得しておくことが必要なんだ。

どんなドラマーでもジャズを学んでおいた方がいいと思いますか?
ジャズだけじゃなくて、ドラマーはすべてのスタイルを学ぶべきだと思うよ。リズムはどんな音楽にも存在するものだから、そのスペシャリストであるドラマーはいろんな音楽、リズムを知っておく必要があると思うんだ。

この先、プレイや音楽にどんなものを取り入れていきたいと思っていますか?
次のアルバム(*3)では、サンプリングしたものをループさせて流しながら、その上にプレイを重ねてみるつもりなんだ。今、僕はそういった方面に少し集中してみたいと思ってるんだ。昔はドラムの生音に固執していたこともあったけど、もうテクノロジーを無視するのはバカげたことだと思うようになったのさ。そろそろバンド全体としても、今までとは違うことをしてもいい時期にきていると思うから、この先はスタジオとライブを別個のものとして捉えていくつもりなんだ。だから次のアルバムでは、スタジオ録音ならではのトリックをいれたり、ドラム・マシンを使ってみようと思ってるんだ。


*1 - Smashing Pumpkins の 1st Album "Gish" 。
*2 -
*3 - Smashing Pumpkins の 3rd Album "Mellon Collie and Infinite Sadness" 。


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